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ミライを信じて夢を掴んだ卒業生に当時の思い出や想いを
橋本校長と語っていただきました。

1981年広島県出身。明治大学政治経済学部卒業。2001年にモデルとして芸能界デビュー。翌年から俳優として「ごくせん」などに出演。2004年「特捜戦隊デカレンジャー」の主演デカレッドで注目される。以後、ドラマや舞台・映画などに多数出演。2015年から広島・世羅町での「半農半タレ」が話題に。現在は「ひろしま満点ママ!!」「テレビ派」などで活躍中。

1961年大阪府出身。1996年に、近畿大学附属福山高等学校東広島校舎に英語教諭として着任(現近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校)。 2007年、同校教頭。 2016年、近畿大学附属高等学校・中学校(大阪)教頭。2019年4月に近畿大学附属広島高等学校・中学校東広島校の第六代目校長として就任。

未来をつくる若者へ。
今、学ぶべきこと。

橋本校長は、この日ノートパソコンを持参。さいねい龍二さんが大学生の頃に出演されたGOING UNDER GROUND『トワイライト』のプロモーションビデオを対談前に紹介。突然の鑑賞会となりました。

橋本  今日、特別に持ってきました!もう忘れているかもしれませんが『GOING UNDER GROUND』のPV(プロモーションビデオ)。私、大好きでね。

さいねい  覚えています!!大学4年の時で、戦隊モノに出演する前です。先生、見てくださっていたんですか?

橋本  本当に大好きで見ていたんです。このPVは様々なシーンを撮っていますよね。セリフがなくてもストーリーが伝わります。

さいねい  映画監督が丁寧に撮っていた作品です。ドラマ仕立てのPVは当時ほとんどなくて、数分の作品なのに4日間かけて撮影しました。初めてオーディションに合格した作品で、懐かしいです。

― 先生は、さいねいさんのご活躍ぶりを見てどう思われますか?

橋本  本当にうれしいですね。映画「テニスの王子様」も拝見しています。私の奥さんは昔から彼の大ファンで、子どもも小さい時に「特捜戦隊デカレンジャー」が大好きで(笑)とても誇らしい卒業生です。

― さいねいさん、久しぶりに学校に来られたご感想は?

さいねい  卒業以来初めて学校に来て、本当懐かしいですね。そして昔よりもっと立派な学校になりましたね。僕は2期生だったので、当時はまだ大学の体育館を借りて体育の授業を受けていました。そもそも僕が入学した時は3年生がいませんでした(笑)僕は東広島市出身で、この学校ができたと聞いた時「え?あの山と田んぼの場所に?」と驚きました。それで興味を持って来てみると、新しくてコンパクトな学校がありました。下を見たら田んぼ、上を見たら山、だけどその中に最新の設備の整った学校があって。逆に、それがいいなぁと思いました。

― 現在のご活躍に至るまでの道のりをお聞かせください。

さいねい  高校1年の三者面談の時、担任の先生が、僕と親にこう話してくれました。「さいねいくんは、国公立大学ではなく、東京の私立大学を目指しましょう。私立でトップを目指しましょう!」と。進学について具体的に話してくれたんです。僕を見ていて、広島よりも東京の方が合うだろうともアドバイスをくださいました。そうすると親は、東京の文系私立大学に行かせることを検討してくれて、無事進学することができました。僕にとって、先生のあの助言は今考えても本当にありがたい話でした。
大学では経済学部で、銀行に就職したいと考えていました。僕の3〜4歳上の世代は就職氷河期で、なかなか厳しいという情報は聞いていましたが、当時1〜2年生だったので、自分のことにまだ置き換えて考えるまでではありませんでした。
その当時からモデルの仕事をしており、大学3年の1月から1カ月間、映画の撮影で宮崎に行くことになったんです。
仕事を終えて帰ってきたら、同級生の髪型がスッキリして、スーツを着ていました。「何があったの?」と聞いたら、すでに就職活動が始まっていて完全に乗り遅れていたんです。僕も合わせて少しやってみましたが気持ちが追いつかず、危機感を抱き始めた4年の秋に、戦隊モノのオーディションがあると事務所から話がありました。「これが決まったら1年間就職できる!」と思いました。その先は1年間頑張ってみて考えようと。無事オーディションに合格し、その1年間の成果で、ほかの色々な仕事に呼んでもらえるようになりました。その後、2014年に大きな転機がありました。母の病気が発覚したことで、家族のことを考えるようになったんです。そして、自分と家族の夢を実現するために何がいいのか模索した結果、広島に帰って活動するという今の形になりました。

― 橋本校長の今に至るまでの経緯をお聞かせください。

橋本  私は大阪出身で、近畿大学に就職し、まず福岡にある附属女子高校に2年、次に当時まだ男子校だった附属福山で10年勤務し、色々な経験をさせていただきました。そして平成8年のこの学校の誕生時から勤めています。また平成28年度から3年間、大阪の附属高校・中学校で修行させてもらい、昨年校長として帰ってきました。
私は教員という仕事が大好きで、生徒が大好きで仕方ないので、本当は「教壇に立って授業がしたい!生徒と向き合いたい!」と思う毎日です(笑)

さいねい  僕が在学中も、英語の授業が1週間で7コマから8コマありました。外国人の先生が授業で「スペリングゲーム」をしていたのを覚えています。文法などではなく、海外の小中学校でやるような、日本でいう「かるた遊び」のようなゲームです。
“ミシシッピ”だったら、相手はそのスペルを言う。今でも“ミシシッピ”のスペルは忘れません(笑)

橋本  3年間勤めていた大阪では、ICT(情報通信技術)が盛んでした。本校でもそれを積極的に取り入れています。本校には3つの海外研修がありますが、今後は研修の数を倍にしたいと考えています。それは、いろいろな生徒がいろいろな目的で、自分がこんなところに行って、こんな力を身につけたいと思うものを選ばせてあげたい。ただ「海外に行ってきました」ではなく、中学校から高校を卒業するまでの6年間で、いろいろな経験をしてほしいと思います。

― 他校にはないような本校の特徴的なことは?

橋本  環境がとても良いんです。生徒たちは勉強と両立して、広いグラウンドでのびのびとスポーツを楽しんでいます。 他校ではよく、勉強中心にしている人と、スポーツ中心にしている人をまとめて「文武両道」と言ったりしますが、本校では同じ生徒が勉強も、スポーツも、文化活動もやりながら社会に出て行ってほしいという思いがあり、そういう学校を目指しています。一緒にやる方が生徒も楽しいだろうし、社会に出てから役に立つはずです。現在活躍している生徒は、勉強もクラブ活動も熱心にやっています。

さいねい  やはりバランスって大事だなと思います。オリンピックに出場される選手の話をお聞きすると、すごく勉強されています。自分の専門的なことだけではなく、視野も広いですよね。“知的好奇心”がとても強い。文武両道、大切ですよね。

橋本  “知的好奇心”。素晴らしいキーワードですね!

― 高校時代に夢中になっていたことは?

さいねい  …彼女ですかね(笑)大好きだった彼女との時間です(笑)

橋本  青春ですよね。創立当初から学校全体が仲の良い家族のようでした。学年は違っても、さいねいさんのことは知っていましたし。楽しい思い出がいっぱいです。

― 学校生活でその後に影響した出会い、思いの変化などがあればお聞かせください

さいねい  たくさんありますね。中でも高校2年・3年の担任の先生には、よく意見をぶつけていまいた。当時先生も若くて、自分たちもその若さに甘えて。
こんなに自由に喋らせてもらっていいのかと思いながらも、先生は受け止めてくださいました。その先生が話してくれた言葉で今でも忘れられないのが、「机の中をきれいにしよう」と。それを聞いた時は、机なんか汚くてもえらい人はいるでしょうと思っていました。でも先生は、「ノートや机の中を整理整頓することは、自分の頭の中を整理整頓することと同じだから役に立つ」と。その頃の僕にはまだ理解できなくて、なんとなく「ああ、そうなんだ」と飲み込みました。でも大人になって、ことあるごとにその言葉を思い出して納得しています。役者なのでセリフを覚えないといけないのですが、覚えられない時、何かと関連づけて覚えていきます。これがまさに机の中やノートの整理と一緒なんです。台本を自分なりのノートに書き起こしてそれを読んでいくという作業に、先生の言葉がすごく役立っています。後輩たちにも是非伝えていきたい言葉ですね。

橋本  教員として、生徒の意見を聞き、時には反発する気持ちも受け止めないといけないと思います。生徒には分からないと決めつけずに、今は納得できないことでもいつか分かってくれると信じて我々は教壇に立っています。

― 当時の自分に伝えられることがあるなら、どんなことですか?

さいねい  「もっと学校生活を楽しめるんじゃないか」と言いたいですね。得意ではなかった授業に対して積極的になれなかったり、受験には関係ないと真剣に聞いていなかったような科目もありました。でも、大人になると勉強がしたくても本当にできなくなるんですよね。その時興味のないことでも、いつか人に教えられたり、自分の得意な何かとリンクさせられたり、すごく役立つと思います。だから、もっと勉強も学校生活も楽しんで、海外研修制度があったなら参加してみたかったですね。

― 英語教師として長く教壇に立たれ校長先生となられましたが、変わらない想いとは?

橋本  生徒と向き合うこと、教育こそが私のライフワークです。
私が英語教員になったのは、ただ英語という学問を教えるのではなく「文化をつなぎたい」という思いがあったからです。世界で活躍している人と日本をつなぎたい。そのためにも、本校で行っている海外研修や交流などを、これからも続けていきたいと思っています。
さいねいさんが東京に出て広島の良さを知ったように、生徒たちにはどんどん海外に出て日本の良さを知るという経験をしてほしいですね。また、私の授業を受けていた生徒が教員として本校に帰ってきてくれていることも本当にうれしいことで私の宝物です。1期生から5期生までの卒業生が、今も本校で教壇に立ってくれています。

― さいねいさんは東京から広島に戻られて、広島の印象はいかがですか?

さいねい  人が人らしく文明を成長させていく地盤として、広島は相応しい都市だと思います。海も山も近い、田んぼも畑もあり、街も発展している。平和都市なのでお金儲けに走るのではなく、人に寄り添う考え方ができているように感じますね。

橋本  広島はバランスがいいですよね。私は大阪出身ですが、都会と田舎のバランスが絶妙だなと思っています。

さいねい  ひとつの県で、南でレモンが採れて北でリンゴが採れるところって、なかなかないですよ。マリンスポーツもスキーもできる広島って珍しいと思います。東広島は、その真ん中にあって、どちらにも行けるので恵まれていると思います。

橋本  本校の生徒は礼儀正しくて、素直で明るく朗らかです。吸収力が高いと思います。
すくすく育ってくれます。

さいねい  それは、この学校の特徴だと思います。校門をくぐった瞬間に、不思議と自然に“素直になって学ぼう”という姿勢になれます。

橋本  本校の校訓は「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人になろう」というもので、創設者の世耕弘一先生が作られたものですが、先日高校1年生全員に校訓についての話をした際、生徒たちが素直に耳を傾けて聞く姿勢にうれしくなりました。今度さいねいさんに是非聴いてほしいのは、創立10周年で作った新しい校歌です。作曲は「キャプテンハーロック」や「聖闘士星矢」の主題歌を作曲された横山菁児(せいじ)先生で、特別にお願いしました。横山先生は本校にも足を運んでくださり「こんなにいい環境で勉強しているんだね」と仰っていただきました。ゆったりとした素晴らしい校歌です。

さいねい  それは聴きたいですね。是非甲子園でも(笑)

橋本  野球部はまだですが、ソフトボール部は強いですよ。

さいねい  知っています!ソフトボール部は、創部1カ月で県1位になりました。

― 近大附属を目指す皆さんに、いま経験してほしいことは?

橋本  学校で前向きに楽しく過ごしてほしいですね。学校は勉強するだけではなくて、社会生活や人間関係を学べる楽しい場であってほしいと思います。まず、今の生活を楽しみましょう。やらないといけないことは何かがきっと分かってくるはずです。そうすると自分の目標も自然に見えてきます。本校に入っていただければ、次のステップは一緒にできます。まずは「どんな学校だろう?」と興味を持っていただきたいと思います。

さいねい  いろいろな学校にロケで行かせてもらうことがありますが、これだけ環境が整っている学校は少ないですね。この学校を卒業して得をしたと思うのは知名度の高さです。東京に行って出身高校を聞かれた時、広島の近大附属だと伝えると「ああ、近大の!」とすぐ分かってもらえます。また、海外に行った時に出身校の話をしたらサンフランシスコの人も「TUNA!(まぐろ)」と言ってくれたんです。世界中で有名なんだとうれしく思いました。コスパが良い学校ですよね(笑)出身校が有名になるのはうれしいです。

橋本  コスパ!それ、いただきます(笑)近畿大学は「実学教育」と「人格の淘冶(とうや)」が信念にありますが、毎年新しいことが始まりますから、ぜひ注目していただきたいです。

さいねい  近大の入学式や卒業式も他とは違ってステージのようで、人選や演出が素晴らしいですよね。

橋本  新しい学部も加わり、大学自体も発展しています。入学志願者数は、ここ数年連続して全国1位です。

― 保護者の方へのメッセージをお願いします。

橋本  私も保護者の一人として、わが子とのやりとりは自然体であるべきだと思います。最近は親子の距離が近く、友だちのように相談しやすい状況だろうと思います。
お子様の悩みも察知していただいて、できるだけ自分で解決できるようにしてあげていただきたいと思います。

― 近大附属に入学してできることは?

橋本  本校はバランスの良い生徒を育てていくために、学校生活を楽しんでいただける工夫をしています。もちろん進学校です。目標とする大学に進学するための学力はしっかりつけてほしいと思います。また多様な海外研修、インターナショナルプログラムも用意しています。地方にありながら海外に発信していき、グローバル人材の育成を目指していますので、ぜひ「今」を大切にしてほしいと思います。

さいねい  多様性って重要ですね。変化をどう楽しむかだと思います。若い時に多様性のある人と接することが大事だと思います。僕が高校生の時、隣の席に英語を話せる人がいて、後ろの席にはエヴァンゲリオン博士がいました(笑)色々な人や考え方があるということを吸収し、すべてを認めることを学んだおかげで人間関係には困りませんでした。これは財産ですね。

橋本  多様性でいうと、冬は冷えますから女子のスラックスを取り入れました。スリッパもクロックスにしたり、カバンも新しいデザインにしました。照明もすべてLEDに替え、黒板もホワイトボードにしてプロジェクターで映すようにICTを進めます。高校1年生にはパソコンを使ってもらうなど、多様性に対応していきます。

― 本校を目指す皆さんに伝えたいことをお聞かせください。

さいねい 中高生の貴重な時間を、どこでどう過ごすかが大事なので自信を持ってこの学校を選んでほしいと思います。

橋本 たくさんの中から選んでいただくにあたって、是非本校を知っていただきたいですね。イベントやオープンスクール(今年はWeb開催ですが)、もちろん普段でも構いません。本校の素晴らしい環境や設備を見ていただいて、将来の自分の目標を達成するために本校を目指していただきたいと思います。